『ヒューマンサイエンス 全5巻』 石井威望、小林登、清水博、村上陽一郎編/中山書店(85)/帯付函傷み有
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第1巻:ミクロコスモスへの挑戦
- 混沌からの出発 -序に代えて(石井威望)
- ●『情報的世界観と人間』(石井威望)
- (1)単能機械から万能機械へ
- エネルギー機械を”制御”する/産業の高度化と万能機械へのニーズ/コンピュータの先史時代/記憶装置内蔵方式へ
- (2)ソフトウェアの特質
- ソフトウェアとは何か/物離れしたソフトウェア/情報の本質はデュプリケーション/ソフトウェアは時間の化身
- (3)情報的世界観と人間
- 人間はまさに情報機械/遺伝情報と遺伝外情報/生物と機械は情報的には同質/”隠された遺伝子”の可能性/
- 情報とリダンダンシー/宇宙は情報の宝庫
- ●『ホロンとしての人間 -バイオホロニズムとはなにか-』(清水博)
- (1)なぜ新しい考え方が必要なのか
- 自然観と人間観の変遷/近代化の行きすぎ現象/新しい人間観の出発点/近代科学を捉え直す/近代科学の枠組みを越えて
- (2)バイオホロニックスの発想
- 個と全体との調和を考える/ホロンという概念/「生きている自然」の階層構造/機能をもつシステムの考察
- (3)ホロンとしての人間を考える
- 新しい人間のイメージ/ホロンとエゴイスト/ホロンのルーツを探る/人間の意識とは何か/宗教とホロン/
- ホロンの視点から日本文化を考える/日本はモノカラーホロン/ハイパーホロンをめざす
- ●『人間とはなにか -その科学的基盤を求めて-』(小林登)
- (1)「人間研究」の新しい方向
- (2)生命を構成する物質と進化
- 化学進化/生物進化/人間進化/「生命ある状態」とは
- (3)人間存在のプログラム
- 遺伝子の作動/呼吸システム/新生児にみる原始歩行/心とは何か
- (4)「心のポログラム」と文化
- 「学ぶ」プログラム/「考える」プログラム/「愛する」プログラムと「信じる」プログラム/
- コミュニッケーションと行動のプログラム/”人間らしさ”と文化的進化
- (5)遺伝子と模伝子
- 遺伝子の利己的行動/遺伝情報と文化伝達/文化状態と発展過程
- (6)人間を”人間たらしめている”もの
- ●『生命と過程』(相沢洋二)
- (1)生命へのアプローチ
- 「物質」か「過程」か
- (2)「過程」の分類
- 未知の概念と変数の発見/概念化、シンボル化の困難性/Beingの状態とは/Becoming過程の三つのタイプ
- (3)開放系の非定常発展過程とは
- 開放系と熱平衡系の相違/Becoming過程(III)/入れ子過程モデル
- (4)”相”を捉える熱力学の立場
- 熱力学の方法/熱平衡相の性質と”相”の把握/散逸構造の出現
- (5)生命過程の素材としての散逸構造
- 「非線形性」と「非対称性」/カオスとは/カオスの出現/カオスのもつ二面性と生物のもつ二面性/散逸構造と階層性
- (6)生命の深い基本機能
- 情報関連過程/代謝関連過程/運動性関連過程/発生・分化に関連する過程
- ●『生物界をどう捉えるか -数理的手法の可能性-』(対談:寺本英/山口昌哉)
- (1)生物と「数」
- 数学がもつ”粗い”視点/科学の諸分野を橋渡しする「応用数学」/「適応戦略」論の落とし穴
- (2)生物の集団、進化について
- マルサス、メンデル、ダーウィンの三つの流れ/行動生物学から社会生物学へ/「大進化」はネオ・ダーウィニズムで解けるのか
- (3)フラクタル的自然観の展開
- 「要素還元論」はどこから出てきたか」/”自然の階層性”とフラクタル構造/進化は数学の”病理学”で記述できるか/カオスと「ゆらぎ」
- (4)社会・文化・人間
- 「時間の流れ」と社会構造/”鎮守の森”の文化/喜劇としての人間存在
- ●『科学で人間は判ったか』(村上陽一郎)
- (1)科学の描く人間像
- 知識は技術化する/科学とキリスト教/客観性の追求
- (2)行動主義的人間像
- 行動学的手法/要素還元主義への疑い
- (3)全体的人間像
- ●『物質の科学・生命の科学 -因果律を超えて-』(対談:渡辺慧/清水博)
- (1)科学のかかえる問題点
- 「もの」の科学から「こと」の科学へ/因果律と逆因果律
- (2)因果律と生命
- 藤原咲平とベルクソン/”時間の矢”は解消されるか/「目的論」の有効性/進化における二種類の「偶然」/
- 因果論の系譜/人間の「自由」と「目的」
- (3)脳の情報処理と認識のしくみ
- 右脳の役割は情報の自己組織化/パラディグマティック・シンボルの機能/パタン認識の本質と「帰納」
- (4)これからの科学の方向性
- 新しい情報圧縮の方法/「もの」の認識と価値観/開放系としての人間理解
- ○ 用語解説/索引
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第2巻:情報システムとしての人間
- シンタクティックスからセマンティックスへ -序に代えて(石井威望)
- ●『高等動物のコミュニケーション -人間にいたる情報進化-』(香原志勢)
- (1)コミュニケーションの種類
- 人間の世界と動物の世界/コミュニケーション成立の条件/コミュニケーションの種類
- (2)動物におけるコミュニケーション
- 昆虫/魚類/両生類および爬虫類/鳥類/哺乳類/高等霊長類
- (3)人間におけるコミュニケーション
- 非言語的コミュニケーションと文化/言語の所有/情報系の進化と人間
- ●『言語表現の全体性 -民族文化における言語の実践-』(梶原景昭)
- (1)言語は人間を規定する
- 農耕呪術にみる言語体験/言語表現の役割とパラドクス/分裂した言語観に対峙するには
- (2)文化と非言語
- 非言語的コミュニケーションは普遍的か/文化の脈絡と言語活動/毛髪をめぐる象徴と儀礼/
- 葬儀における剃髪/身体表現行動の再評価
- (3)言語の上演
- 「精神的建築」としての演劇/多言語使用による時空の超越/本来的な言語の力/音楽表現と進化の機能/
- テクスト媒介者の声/「言語変換」のもつ意味
- (4)太鼓の響き
- ドラム言語のコンテクスト/公的伝達と詩的表現/言語の全体性の把握をめざして
- ●『非言語から言語へ』(鼎談:井上和子/小林登/石井威望)
- (1)エントレインメントと非言語コミュニケーション
- エントレインメントとは何か/コンピュータ解析の方法/母と子の相互作用/行動言語/
- ”うなづき”ロボットとコミュニケーションの「間」
- (2)言語の獲得過程
- 理論言語学とチョムスキー/言語表現の発達/言語構造の普遍的原理/言語獲得のストラテジー
- (3)文化と言語
- 「まねる」能力と動物の文化/原始民族の言語体系/日本語の特徴/ニューメディアとこれからの日本語
- ●『シンクロニゼーション -人間と機械の調和をめざして-』(渡辺富夫/石井威望)
- (1)新生児にみるシンクロニゼーション
- 人間とコンピュータの対話/符号化情報と非符号化情報/新生児の情報処理能力/
- エントレインメント現象のコンピュータ分析/シンクロニゼーションと情報交換
- (2)”うなづき”ロボットの実験から
- 語りかけに対して反応する情報機械/人間と知能ロボットの協同作業/教育用コンピュータへの応用/
- リズムと動作のシンクロニゼーション
- ●『理解のスキーマ -脳と心の情報処理-』(佐伯胖)
- (1)どうして「わかる」のか
- 「スキーマ」と「つもり」/モジュール的情報処理と中枢的情報処理
- (2)スキーマによる知識表現
- 積木の形を識別するスキーマ/積木の形をつくるスキーマ/単語の意味を考えるスキーマ/物語の展開のスキーマ/
- 日常の生活場面のスキーマ
- (3)スキーマと真実性の理解
- knowing how としてのスキーマ/knowing that の知識とスキーマ論の限界/真実性の判断/確率判断における発見論的偏向/
- 問題解決における「確かめ」過程/「必然的」な情況づくり/メンタル・シミュレーション/「知ることの心理学」はこれから
- ●『コンピュータビジョン -三次元シーンの認識-』(白井良明)
- (1)コンピュータによる画像処理
- パターン照合/三次元シーン認識のむずかしさ/コンピュータビジョンの一般的処理過程
- (2)二次元画像による三次元シーンの認識
- 階層的な方法/非階層的な方法/より複雑なシーンの認識/画像内の位置関係の利用
- (3)距離情報の処理
- 距離情報の入力/両眼立体視/レンジファインダ/距離画像による物体の認識
- (4)三次元モデルの利用
- 実物を見せてモデルを作る/見せて作ったモデルに基づく認識/設計データの利用
- ●『知識工学と「診断」システム -機械は人間にどこまで迫れるか-』(関原成允)
- (1)人間の”推論”をコンピュータで実現するには
- (2)医師の「診断」を研究する目的
- (3)診断過程の解析とその機械モデル
- 「診断」過程研究の流れ/ベイズの定理を用いる方法/判別関数を用いる方法/「知識工学」の方法/
- エキスパート・システムの例/ELIZAとの対話/「深い推論」と「浅い推論」のチャンネル
- (4)医療における診断システムの役割
- 多くの情報を必要としている医療/医師はどのような情報を求めているか/医療コンサルテーション・システムの条件
- ●『最適戦略とゲーム理解 -行動するシステムの法則を求めて-』(西山賢一)
- (1)人間の行動と企業・産業の振舞い
- 「入力 - 出力」系としての行動/行動におけるソフトウェアの視点/行動主体の三つの特徴
- (2)最適戦略行動とは
- 経済システムの最適戦略/生態システムの最適戦略/多重基準のもとでの意思決定
- (3)利害の対立
- ジレンマ・ゲームにみる戦略/「囚人のジレンマ」と「弱虫ゲーム」/くり返しジレンマ・ゲーム
- (4)階層システムの行動モデル
- 下位階層の内部状態/上位階層の内部状態/上位階層による下位階層の制御/階層システム間の相互交流/
- ニコリスのモデル・シミュレーション/行動システム研究の意義
- ●『「脳とコンピュータ」比較論』(対談:清水博/石井威望)
- (1)脳とコンピュータはほんとうに似ているのか
- 脳とコンピュータのちがい/「脳研究」とコンピュータ/thing ではなく behavior の科学として
- (2)機能からみた脳とコンピュータ
- 計算機械と知能機械/客観から主観へ/帰納能力とシミュレーション/ピュアな情報処理
- (3)コンピュータをどう使うか
- 「四色問題」をめぐって/乱数の面白さ/浸透するコンピュータ・ツール
- (4)ソフトウェアとしての脳
- 記憶は時間軸上の情報輸送/遺伝情報と社会的記憶/ハードウェアとソフトウェアが同時にできる脳/コンピュータの自己増殖
- ○ 用語解説/索引
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第3巻:生命現象のダイナミズム
- 生命の法則性 -序に代えて(清水博)
- ●『生物リズムと引き込み』(山口陽子)
- (1)時間の流れ
- (2)自己組織現象としてのリズム
- 線形振動とリミットサイクル/「ゆらぎ」から成長するリミットサイクル/細胞内レベルのリズム現象
- (3)リズムの協同現象
- 引き込みとはなにか/引き込みの特質/カオスの出現
- (4)生物における引き込み
- 心筋細胞と繊毛運動の引き込み/神経系にみるリズム機構/概日リズムとコミュニケーション/人間のコミュニケーションとリズム
- (5)ニューサイエンスの方向
- 生命の階層構造/共時性/情報のホロンとしてのリズム/新しい科学の方向性
- ●『微生物の行動』(大沢文夫)
- (1)生物は分子でできた機構
- シュレディンガーの問題意識/やわらかい分子機構/分子機械の「ゆらぎ」
- (2)ゾウリムシの行動における自発性と「ゆらぎ」
- 泳ぎのパターン/外部刺激による方向変換のメカニズム/自発的方向変換のメカニズム
- (3)走性行動と「ゆらぎ」
- 適温に向う走性/化学物質に対する走性/外部情報による自発性の調節
- (4)「ゆらぎ」の大きさの調節
- 自発的方向変換の時間間隔/「ゆらぎ」を作るメカニズム
- (5)適応から記憶へ
- ゾウリムシは環境を記憶する/ゾウリムシの相互作用
- (6)生物行動の確率的性格
- ●『細胞レベルにおける生命』(小畠陽之助/上田哲男)
- (1)生命のダイナミックス
- (2)細胞間コミュニケーション
- 粘菌の生活環と細胞活動/細胞間信号化学物質の働き
- (3)細胞における刺激 -応答系-
- アメーバ型運動のしくみ/走性の発現/刺激に対する非線形応答
- (4)振動する化学反応
- リズムの発現/解糖系における振動/ミトコンドリアにおける振動/サイクリックAMP合成における振動とマロン酸反応
- (5)細胞機能の発現と非線形現象
- アメーバ型運動はカオスか/粘菌における流動と同期現象/収縮リズムと調節因子/細胞の分裂周期と引き込み/
- 形態形成と細胞分化
- ●『生体とゆらぎ』(松本元)
- (1)「生きている」とは
- “熱平衡から遠く離れること”が基本/生物理解への第一歩
- (2)「非線形非平衡系」の特徴
- 分散と循環による「ゆらぎ」の表現/非平衡系における「ゆらぎ」の状態
- (3)神経細胞の電気的興奮現象
- 試料として好適なヤリイカ/イオン濃度差における非平衡環境/膜の二つの安定相/二つの安定相間の転移の様相
- (4)非平衡系と生体機能
- 神経興奮の物理的理解/「生きていること」に対する物理的理解
- ●『体の形はどのように決まるか』(対談:江口吾朗/沢田康次)
- (1)形態形成のプロセス
- 発生現象のもつ魅力/生物発生のシグナル/遺伝情報のオンとオフ/細胞分化とザボチンスキー反応
- (2)形態形成の理論的展開に関する問題点
- 位置情報を裏付ける分子は存在するか/極座標モデルの考え方/“生物は確率ではない”/古典発生学とはちがう”流儀”
- (3)細胞選別と生物の形
- 粘着度による細胞種の選別/細胞間の接着機構はどのようになっているか/癌の浸潤と絶縁破壊のアナロジー/
- 上皮の形成と対流にみる六角形パターン
- (4)発生学のこれからのテーマ
- 形態形成におけるハードとソフト/”生物らしさ”を求めて
- ●『発育とその選択的プロセス』(小林登)
- (1)脳・神経にみられる選択的プロセス
- 神経系の構造/神経芽細胞の増殖/ニューロンの移動と集合/ニューロンの分化過程/「ニューロン死」という選択/
- さまざまなシナプス除去現象/シナプス除去のメカニズム
- (2)胸腺にみられる免疫細胞の選択的プロセス
- 免疫系の機能と構造/Tリンパ球にみられる選択
- (3)卵子にみられる選択的プロセス
- (4)細胞レベルにおけるダーウィニズム
- 「個体発生は系統発生をくり返す」/ラマルクとダーウィン/発育にみる選択的プロセスの理解
- ●『生体内情報伝達の物質的基盤』(大沢伸昭)
- (1)神経系とホルモン系
- ホルモンとはどういうものか/神経系とホルモン系の比較/ストレス反応と情報伝達系
- (2)ホルモンの情報伝達のしくみ
- 作用の特異性/作用の増幅機構
- (3)伝達物質とレセプターの組合せ
- 情報伝達に関係する生理活性物質/薬レセプターの発見/”体の中に薬がある”
- (4)生命現象の物質的基盤
- ●『意識・生命・座禅 -現代人のための精神医学-』(平井富雄)
- (1)「生命と人間」からみた現代
- 「身体」と「からだ」/科学の進歩と「人間の生き方」/「死」の意識にみる生命の尊厳
- (2)脳と「意識」
- 「意識」とは/生命と「意識」/「意識内容」と心
- (3)座禅のもつ科学性
- 「黙照体験」と「意識の転換」/座禅時における「意識転換」と「脳波変化」の相関/「意識転換」のもたらす生き方
- ●『死はプログラムされているか』(対談:江上信雄/清水博)
- (1)老化のメカニズムを探る
- 種によって異なる生きざまと死にざま/クローナル・エイジングとは/「プログラムされた死」と進化/発生と老化/
- 細胞分裂にみる初期条件の変化/正常な細胞には寿命がある/老化現象のシステム的視点/DNAレベルにおける老化
- (2)老化の意味を問い直す
- 不可逆現象としてのエイジング/「秩序の固形化」の意味するもの/システム老化の原因/生体と社会のアナロジー/
- 生物に不可欠な「ゆらぎ」/新しい方法論を求めて/人間のもつ自己矛盾
- ●『生命と寿命』(古川俊之)
- (1)生命の設計思想
- 生命のラジカルな定義/設計・機能・組成の同一性/ミッションの多様性
- (2)平均寿命の機械論的ダイナミズム
- 生命のディスポーザブル設計思想/寿命のモンテカルロ・モデル/生命侵蝕因子の大きさ
- (3)生命の故障法則
- 死亡率と故障曲線/初期故障/突発故障/摩耗故障
- (4)病気と故障法則
- 時計仕掛けの発症メカニズム/病気にも寿命がある/一撃型と消耗型の死亡モード
- (5)文明と寿命
- 長寿を作った文明/文明を創った長寿/長寿伝説の村と文明
- ●『生と死のあいだ』(対談:吉利和/日高敏隆)
- (1)死の判定はできるか
- 心臓死と脳死/死に至るプロセス/下等動物における死の概念/メタボリズムの低下にみる生と死/
- クリプトバイオシスとタナトーシス
- (2)人間が死を発見した
- 死の自覚と予知/死の文化的背景/健康観とその指標/遺体の尊厳性/動物は死を理解できるか/死の認識によりもたられれた課題
- ○ 用語解説/索引
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第4巻:ハイテクノロジーと未来社会
- テクノロジーに何を委ねるか -序に代えて(村上陽一郎)
- ●『情報革命と産業社会』(石井威望)
- (1)「エネルギー」から「情報」へ
- “円環”から”直線”になった経済構造/「宇宙船地球号」/情報的世界観の台頭
- (2)日本における情報革命
- “石油ガブ呑み体質”と”雪ダルマ方式”/省エネも公害克服も世界一/「情報化」を裏づける数字
- (3)新しい”石器文明”の時代
- 情報の複製がもたらす社会的インパクト/ハードコピーとソフトコピー/制御方式の変化
- (4)日本文化を科学の第一線から見直すと
- “割箸文化”と先端技術/ブランクに秘められた情報/無駄にみえる部分の情報的価値/エコシステムと科学技術
- (5)先端技術と日本の伝統
- “縮み”志向の文化とアクセシビリティ/職人気質が生んだ「X産業群」/ハイテクノロジーと人類の未来
- ●『集中から分散へ -システム設計思想の流れ-』(廣瀬通孝)
- (1)集中化と分散化の歴史的アナロジー
- 集中化の限界/動力分散化の流れ/計算機における分散型システム
- (2)分散型システムの利点
- 生き残った計算機の効用/バカにならない配線スペース/計算機ネットワークの技術/逆になった計算機のコスト/
- OAにみる高アクセシビリティ
- (3)分散化へのキーポイント
- 中核となる something/階層システムにおける人間要素
- ●『都市環境の現在と未来』(対談:下河辺淳/石井威望)
- (1)情報化時代の空間論
- 都市計画の三極構造/コンピュータリゼーションを支えるもの/価値観の多様化と意志決定
- (2)高齢化社会の都市づくり
- 老化のない高齢化/「老いのくりごと」の価値/セマンティックな情報を担う高齢者/遍歴時代とテクノポリス/
- “赤ちょうちん”のある都市づくり
- (3)都市のメタボリズム
- 空間論の転換期/ゲリラ的パワーが都市を変える/”レトロフィット”する都市/”木”の文化のエコロジカルな展開/
- 巨大システムの限界
- ●『宇宙時代と人間 -飛行と居住の可能性-』(餌取章男)
- (1)ブラックホールとホワイトホール
- 進化の果ての落とし穴/宇宙間飛行の可能性/脱出不可能なブラックホール/“宇宙のゆがみ”と連絡通路/
- ホワイトホールは宇宙のはじまり/相対性理論はこえられるか
- (2)スペースコロニーの建設
- 宇宙植民地と地球公園/居住空間としての条件/宇宙的文化へ進化できるか
- (3)宇宙時代と人間
- 地球の支配者に課せられた制約/宇宙レベルで考える生命
- ●『メディア・テクノロジー -新時代の情報伝達システム-』(吉成真由美)
- (1)情報とはなにか
- 女王バチのフェロモン/ベンチャー企業を支えるもの/情報の「平等化」と「個別化」
- (2)メディア・テクノロジーとはなにか
- 活字・映像・コンピュータ方式/インタフェースに関する要件/情報選択の余地のいろいろ/
- ニュースにアクセスする三段階/ディジタル再生・変換システム/ムービー・マニュアル
- (3)コンピュータ・グラフィックスとはなにか
- 新しい映像の世界/創造性を拡大するテクノロジー/新しい美学の誕生
- (4)メディア・テクノロジーの応用
- 「学校」神話の崩壊/「肉体」神話の崩壊
- ●『コンピュータと芸術』(端山貢明)
- (1)ニュー・メディア・テクノロジーと表現技術
- (2)コンピュータ・グラフィックスの歩み
- 高度なシミュレーションの視角化/芸術と技術の出会い/コンピュータ・アニメーション/
- 新しい感覚表現の意識/シュミレーションにおけるリアリズム/「メディア・ルーム」の開発
- (3)コンピュータと音楽表現
- 作曲のアルゴリズム/コンピュータによる音響合成/コンピュータ演奏のハイブリッドシステム/インタラクティビティの開発
- ●『第五世代コンピュータのめざすもの』(対談:元岡達/石井威望)
- (1)なぜ第五世代コンピュータなのか
- 「IBM」対「日本」の構図/ソフトウェア危機/コンピュータも”推論”できる?
- (2)第五世代コンピュータの目標
- 人工知能志向の計算機/認知科学と第五世代コンピュータ/バイオチップの課題
- (3)第五世代プロジェクトの国際性
- 日本らしい”いつもの手”/国際協力は可能か/第五世代の推進
- ●『遺伝子工学とバイオソサエティ』(中村桂子)
- (1)遺伝子研究のもつ意味
- 変化への期待と不安/人間とは技術をもつ生き物/現代を考えるキーワード”遺伝子”/安定性と柔軟性
- (2)生き物のもつ遺伝子の共通性
- ソフトウェアとしての遺伝子/全体としてのプログラム
- (3)生き物としての連続性
- 生物は歴史を抱え込んだ存在/”連続性”のなかで
- (4)新しい遺伝子像に学ぶ
- 余裕のある多細胞生物の遺伝子/遺伝子の重複とイントロン/無駄と「効率」
- (5)遺伝子に学ぶ第二のこと
- 調節遺伝子の働き/スイッチ調節機構の存在
- (6)生き物はゴールをめざしていない
- 遺伝子操作で”よい人間”ができるか/二十一世紀はバイオソサエティの時代
- ●『生命操作の形而上学』(対談:柳瀬睦男/大沢文夫)
- (1)生命の「目的性」をめぐって
- 方向性をつくり出すメカニズム/生物の柔らかさと「ゆらぎ」/ホモ・ファーベルとしての人間/DNAは”すべて”か?/
- 生命の構造と「目的性」/現代生物学は十九世紀の物理学
- (2)生命観と価値観と
- 倫理的価値判断における問題点/遺伝子の変化は不可避/個の保存、種の保存/各分野の価値基準を超えて
- ●『機械論的生命観と植物状態患者』(長野敬)
- (1)生命観の変遷
- デカルトは「生命機械論」の元祖/「もの」としての生命理解/「心」の二元論的立場/脳を科学する/脳機能の地図
- (2)「生きている」だけの人間
- 植物状態と脳死/”人間マイナス情報”/人間の尊厳性
- ●『モダン・テクノロジーと社会学』(加藤秀俊)
- (1)技術と社会
- “鎧から封建制が生まれた”といわれるわけ/火薬と砲弾と
- (2)モダン・テクノロジーの成立
- “科学的世界観”の誕生/人類思想史の三段階説
- (3)モダン・テクノロジーの影響
- 「社会学」の誕生/「適者生存」学説の登場/「階級闘争」理論の背景
- (4)社会学の現代的問題点
- 「科学」をモデルにしすぎた/”情報科学”と”社会科学”
- (5)「技術」と「社会」の未来展望
- 「文科」と「理科」/「社会」と「社会学」の距離をせばめるには/「社会学」の活路
- ●『科学は魔術か』(村上陽一郎)
- (1)「科学」と「非合理性」
- “思い込み”の論理/「太陽中心説」の真意/創造主への讃歌としての「男性的原理」
- (2)現代社会における科学技術
- 「神秘主義」の「合理的解釈」/特権階級としての専門家/“ジャーゴン”エピソード
- (3)神秘主義の淵から
- 「科学」と「魔術」の類似/”自然に内在する力”とは/”もうろく”のせいか
- ○ 用語解説/索引
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第5巻:現代文化のポテンシャル
- <ヒューマンサイエンス>への道 -序に代えて(小林登)
- ●『遺伝子と文化の相互進化』(鈴木良次/曽我部正博)
- (1)人間の多様性と共通点をつくるもの
- (2)遺伝子の進化
- ネオダーウィニズム批判/分断遺伝子や転転子/進化の方向性/自己完結的なシステムの自己展開/
- 「自然淘汰説」と「群淘汰説」/生きのびる”利他行為”/女王バチは「妹生産機械」
- (3)「文化」の進化
- 第二の情報伝達系/動物は文化をもつか/「主体文化」は遺伝子型/二つの自己複製子/
- 子供の数より大量のコピー/”利己的ミーム”の文化理論
- (4)遺伝子と文化の相互進化
- 自然と文化の対立が新たな文化を生む/「増幅則」と「千年則」/“自然的人間”と”文化的人間の亀裂”/
- ”粒子的世界観”のみではなく
- ●『人間の欲望にみる動物性と霊性』(星野命)
- (1)人間本質の二つの側面
- “天使”のいろいろ
- (2)人間における「欲求」の分析
- 「自己意識」と「コスモロジー」/「本能」概念から「欲求」論へ/
- 「欲求」の位層構造
- (3)人間への行動生物学的アプローチ
- “攻撃行動”を起こすシステム/人間の攻撃性は生得的・内発的か/“殺してはいけない”のフィルター/
- 「利他行動」をめぐる解釈
- (4)人間発達における学習・文化の役割
- 神経回路網の成熟と情報/生き残るための”文化学習”/欲求の民族差/“海外成長日本人”と文化のポテンシャル/
- 人間は「開かれた組織」
- (5)人間の欲望とコスモロジー
- 人間の「霊性」とは/シャーマニズムとコスモロジー/欲望システムの再構成
- ●『サルの性、ヒトの性』(大島清)
- (1)人間が喪失したもの、サルから引き継いだもの
- サルの”原体験”/「性」という字の真の意味/セックスからセクシュアリティへの止揚
- (2)発情期のなくなった人間
- ホルモン動態と発情周期/”恋のシグナル”に変化
- (3)二足歩行が招いた「お産」
- 強い「つわり」と妊娠中毒症/難産という宿命/復活する自然分娩/食胎盤行動と夜間出産のもつ意味
- (4)母性の進化 -本能から学習へ-
- 未熟児として生まれる人間/母性とホルモンの関係/離乳と繁殖戦略/近親相姦の回避
- (5)生と性、そして死
- ●『社会変化とリーダーの条件』(対談:佐藤誠三郎/石井威望)
- (1)リーダーの発祥と役割の変化
- ドラマのストーリーを書く人/リーダーの出現の外因説と内因説/低下するリーダーの権威/「指導者」から「世話役化」へ/
- いやな奴にやらせる/それでもリーダー志望者は絶えない
- (2)技術革新時代のリーダー像
- カリスマ型からタレント型へ/”コックに英雄なし”/ニューメディアとリーダーの変化/社長は偉い?/
- P型リーダーとM型リーダー/技術者集団をどうリードしていくか/まさにリーダーが必要な時代
- (3)リーダーの育成を展望する
- 使命感と権力欲/知的エリートの養成/”残党”が次の時代のリーダーか
- ●『家族の文化 -情報のもつ意味と役割-』(米山俊直)
- (1)血縁関係の展開
- “文化をもった動物”/核家族への回帰/遺伝情報のケーブル/背に負うた荷物/種族の無言の約束/
- ”ホトキさん”中心のしつけ/残存する家の観念
- (2)家・家族・家庭
- エチックとエミック/進化の第三段階としての家庭/ホロニック・モデル/単独生活者の時代/
- ”はかない家族関係”への移行/積極的マイホーム主義
- (3)家庭はどんな情報を伝えてきたか
- 家庭構成員の多様な関係/「しつけ」は子供の文化化/家庭内情報伝達の双方向性/生活史や自伝にみる訓え/
- 「家訓」の歴史/情報のエージェントとしての家庭
- ●『科学と宗教 -その相互的視点-』(対談:森政弘/小林登)
- (1)清らかな一つの全体者を知る
- “人間は自然の小さいもの”/”見る主体”を見ることはできない/大自然の「慈悲」を「工学的受用」する/
- 自然科学をやっていると宗教は理解しやすい」
- (2)宗教がヒトを”人間”にした
- 「信じる」というプログラムの存在/「情報科学」が伝えていること/“情報”とうい観点からみた宗教/
- 「言葉」より先にあった「宗教」/“祈りと報い”のシステム/絶対と相対を含むほんとうの「絶対」
- (3)二元的一元論による矛盾の脱却
- 薄い悪のベールをかぶった如来蔵/敵を味方にする「退歩の勉強」/「素粒子論」と「道教」の対比/
- あらゆる現象は「ヤヌス」である/鬼っ子を育てる人間の行為
- (4)人間とロボットの「身体図」
- 身体図というソフトウェア/母と子を結ぶバイオロジカルシステム/科学性を帯びた統一宗教を
- ●『自己組織化現象としての宗教』(対談:八木誠一/清水博)
- (1)ホロンと非線形現象
- 生命の新しいとらえ方/足し算でいける世界か否か/「統合」というシステム/人間の意識の自己組織化/
- ホロンは選択する
- (2)宗教からみた個のあり方
- 「ペルソーナ」と「インディヴィドゥウム」/「自我」は非線形/一意性の世界/「エゴイズム」と「意識の癌化」/
- 「殺さない」が「殺すべからず」に/ペルソーナへの回帰/神の働き
- (3)生きるという営みの意味
- 「主観」の科学的理解を求めて/他者のフロントを自己の一部に転換する過程/「主客対立」の構図/
- 「主観」と「客観」は分けられない/仏教でいう「空」とは/柔らかい安定性/「最適戦略理論」と宗教/
- 「進化論」に新しい作業仮説
- ●『飢餓感からの出発 -経済発展のもたらすもの-』(対談:宮崎勇/石井威望)
- (1)経済の段階的発展と「飢餓」
- 基本的欲求としての食欲/戦争こそ経済社会の原動力/日本人の危機感と「合理的期待形成」/
- 強まる”物離れ”/豊かな社会では欲望と数字が一致しない/シンプル・ライフのもつ多様性
- (2)平等均質な競争社会
- 貯蓄率の高さが意味するもの/ハングリーな種が生き残る/技術開発にみる相対的飢餓感/飢餓を乗り越える知恵
- ●『西洋からみた漢字文化』(P・キュンメル)
- (1)表意文字とはなにか
- 漢字の成立/漢字の音響か化と簡略化/絵文字から表意文字へ/現代の絵文字システム/「六書」理論のあらまし
- (2)表音文字とはなにか
- 表音文字システムの成立/アルファベットの合理化
- (3)漢字文化の将来
- 西洋人の疑問/コンピュータにとっては表意文字のほうが有利/将来のローマ字と漢字
- ●『文化の遺産はわれわれになにを教えるか』(吉田直哉)
- (1)進化論的歴史観の破綻
- 現代文明は過去より優越しているか/文明の”引き潮”と”満ち潮”/“失われたきのう”の謎に包まれた闇/
- アトランティス文明の伝承
- (2)文明の滅亡から得る教訓
- 「タッシリアの岩絵」がもたらしたセンセーション/モヘンジョダロ遺蹟にみる文明の衰退
- (3)文明はなぜ過酷な条件を選ぶのか
- 自然への挑戦が文明のバネ/「痛み」と「文明」/マヤ文明の進歩と野蛮
- (4)古代遺跡に秘められた情報
- ピラミッドはタイムカプセル/古代文字は楽譜か/「ネコは祈る」から思想の究明へ
- (5)古代文明から学ぶもの
- 文明再生のためのヒント/”聖なる形”の伝える情報/新しい調和を求めて/「生命体」に学ぶ
- ●『科学と芸術の対話』(対談:東野芳明/小林登)
- (1)人間の発見、芸術の発生
- “答えのない世界”と生物科学の立場/ダ・ヴィンチの「人体比例の図」と地球/「肉体」の発見/
- 「洞窟絵画」とコンピュータ/“人類史を一挙に辿り直す”子供の成長/「報いのシステム」と芸術
- (2)芸術表現の変遷と抽象性
- “わからない絵”の歴史/”目で触れる”/美とは別のリアリティ/「抽象衝動」と「感情移入」/
- チンパンジーに抽象能力はあるか/“楽しむ能力”と”抽象能力”/人間特有のプログラムとしての芸術
- (3)科学と芸術のパラレルな関係
- シュールレアリスムの科学性/意識下の不合理な世界を/ピカソとアインシュタインの接点/
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- 科学も芸術も同じ基盤/「つくり手」と「受け手」の相互作用/縦から横になった関係
- ○ 用語解説/索引